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気になる繰り上げ返済の賢い利用法

家計のホームドクター、ファイナンシャルプランナーの高村です。
今回は、住宅ローン返済中の方はもちろん、これから住宅購入を検討している方も参考になる賢い繰り上げ返済利用法をご案内します。



繰り上げ返済の基礎知識

住宅ローンの返済は長期間にわたるのが一般的です。
例えば35歳時に35年ローンを組んだ場合には、返済終了が70歳になります。ご自身が定年退職を迎えるまでには住宅ローンを完済したいとお考えの方が少なくありません。

返済期間中にまとまった貯蓄が出来た場合や、家計に余裕が出来たときに住宅ローンの全部、または一部を返済できるのが、繰り上げ返済です。



繰り上げ返済には2つの方法があります

①期間短縮型:毎月の返済額を変えずに返済期間を短縮する方法

②返済額軽減型:返済期間を変えずに毎月の返済額を減らす方法

具体的に見てみましょう。

借入額3000万円 年率2.0%(全期間固定) 元利均等返済 借入期間35年

返済開始から3年後(4年目1ヶ月)に300万円の一部繰り上げ返済をした場合

【期間短縮型の場合】
返済期間が4年6ヶ月短縮されます。
約240万円の利息が軽減されます。

【返済額軽減型の場合】
月々の返済額が9,669円軽減されます。
約106万円の利息が節約できます。

単純に利息軽減の大小だけで比較すると、期間短縮型の方が有利です。また、繰り上げ返済は時期が早ければ早いほど利息軽減効果は高まります。ただどちらが効果的なのかは、繰り上げ返済をする時期や状況によって異なります。

定年退職まで返済を残したくない場合であれば期間短縮型でしょうし、月々の返済を減額していきたい場合は返済額軽減型になるでしょう。



ライフプランから繰り上げ返済を検討する

ではいつ頃繰り上げ返済をしたらいいのでしょうか?これにつきましてはライフプランを基に検討していきましょう。
住宅ローンを返済中の時期には様々なライフイベントがあると思います。それによって家計の収支も変化していきます。

出産や育児期間中では奥様の収入が減る期間もあるでしょう。お子様の成長に伴い教育費がかかる時期、自動車を購入したり、住宅を修繕したりと様々な出費が必要になってきます。そういった時期を見据えながら繰り上げ返済を検討していきます。



損得だけで繰り上げ返済をしない

住宅ローンは長期間に亘るものですから、無理をしてでも少しでも早く返済したいと考えがちです。早い時期に繰り上げ返済をやればやるほど効果は大きくなります。しかし、そこに落とし穴が隠されています。ライフプランを考慮せずに繰り上げ返済を優先させると、将来預貯金が底をついてしまうという事があり得るのです。

例えば、お子様が大学に進学する時期の出費はかなりのものになります。その事をよく検討せずに、本来教育費に回した方がいい貯蓄分を繰り上げ返済してしまうということです。将来に亘ってのライフプラン全体を見て検討してください。



住宅ローン減税分は繰り上げ返済用に貯蓄しておく

これから住宅ローンを検討している方へのアドバイスです。今まで様々な相談業務をしてきましたが、住宅ローンの返済が始まると思ったように貯蓄が出来ないという相談も少なくありません。

住宅購入前の資金計画をしっかり立てることはもちろんですが、その時に住宅ローン減税で戻ってくる還付金や、すまい給付金などの臨時的に入ってくるものは繰り上げ返済の原資として貯蓄していきましょう。こうした貯蓄をすることによって不測の出費に備えることもできます。



将来を見据えたバランス感覚を持って

史上最低金利と言われている現在、住宅ローンの考え方も以前とは変わってきています。
高金利時代は、頭金を多く入れて、繰り上げ返済をどんどんすることによって金利負担を減らすことが優先されていました。

現在はその逆で、金利負担が少ないため、出費の重なる時期や不測の事態に備えて出来るだけ貯蓄を確保していくようになりました。住宅・教育・老後と人生の3大支出の時期は人それぞれ違ってきます。将来を見据えたライフプランもその時々で修正が必要なこともあるでしょう。そのような時には私たちファイナンシャルプランナーに相談してください。

皆さん一人一人に合った答えが見つかると思います。

●おかねの悩みは「家計のホームドクター®」のわたしにご相談ください!
高村 忠宏

ファイナンシャルプランナー

高村 忠宏(たかむら ただひろ)

相談者のライフプランをサポートすることをまず第一に考え、それを実現するためのコンサルティングを行っている。

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